オフィスの種類
シンガポールで「オフィス」と通称するものは、具体的に次のように区分されます。
【一般オフィス】
通常のオフィス・ビル等で、都市計画上も用途規制上も、オフィス専用に作られている普通のオフィス・スペースのこと。
ダウンタウン等、特定地域に集中。
【倉 庫】
工場地帯、港湾・空港周辺等、郊外に立地。賃料も安いが、オフィスとしては、総面積の25%までしか、使えない。また、倉庫・オフィス以外の「その他の用途、例えばショールーム等」として15%まで、転用可能。いずれにせよ、最低60%は倉庫として使っていないと、違法となる。
【工 場】
オフィスとしては、最大10%?25%まで転用可能が通常(JTC公団等)。
【店舗・ショールーム】
一部をオフィスに転用することは可能だが、元々賃料・固定資産税の高い店舗・ショールームをオフィスとして使うことは、概して経済的でない場合が多い。
【その他、注意事項】
日本の都市部では、マンションが事務所として転用されているケースが多々ありますが、シンガポールでは厳しく禁止されています。
都市計画と住環境保全の観点からと見られます。管理組合や元従業員等からの苦情があると、確実に排除命令を受けます。
なお、実際に居住していて、自分だけで仕事をしていることは差し支えありませんが、外部から従業員を通わせることは違反事項となります。
また、原則として、住宅住所では、会社の登記はできません。
地 域
一般オフィスが立地している主要地域は、次の通り。
【 シティー 主としてD1,D2地区】
ロンドンの“シティー”にちなみ、シェントン・ウェイ等のオフィス街を指す。
東京でいえば、丸の内・大手町に相当し、最大のオフィス街を形成。
最近では、新興の隣接部(マリーナ地区やブギス地区)も含めて“シティー”と呼ばれる場合も多い。
【オーチャード 主としてD9地区】
東京銀座・日本橋に相当。
【東部 マリン・パレード地区、タンピネス地区 主としてD15、D18】
幕張・浦安に相当。空港に近い。
【西部 アレキサンドラ地区 主としてD5】
横浜臨海地区に相当。港ならびにジュロン工業地帯に近い。
【その他、注意事項】
シンガポールのオフィス・ビルの過半は、“シティー”と”オーチャード”地区(両地区を総称して”ダウンタウン”とも呼ぶ。
特にそのうち、車両の乗り入れ規制地域はCBD...Central Business Districtとも呼ばれる)に立地。
ダウンタウン立地の方が、事務系の従業員採用は、容易。
サイズ
ビル (オーナーのポリシー) により最小単位が異なります。いわゆる一流ビル程、最小単位が大きくなります。
通常、最小ユニットの面積は、1000?2000平方フィートです。(1000平方フィート=92.2平米)なお、登記簿面積で賃料は決まりますが、
実測とは異なる場合があるのは、日本と同じです。(「縄伸び」「縄縮み」)
契約期間
通常2?3年。(但し、大口アンカー・テナントの場合、5?10年の場合もある。)中途解約は、不可。 又、契約満期に更新拒絶されても、立退き料や内装費等の補償請求はできない。 「裸借り」「裸返し」が原則で、内装は借り手負担。 契約面積・契約期間に応じ、無料の改装期間がもらえる。
なお、シンガポールの賃貸市況は、経済動向などによって、大きく上下するので、契約満期時に賃貸料がどうなりそうかも、ある程度予測(覚悟)しておく必要がある。また、最近は、再開発による取壊し予定のあるビルなどもあり、そのあたりの情報にも、注意したい。
敷金・礼金・仲介手数料 他
敷 金: |
通常3か月 (償却無し) (尚、借り手たる法人の払込み資本金が小額だと、敷金の積み増しを要求されます。
また、物件によって、在住取締役の個人保証が必要となります。) |
権利金: |
無 し (店舗の場合、必要となる場合も、あり。) |
礼 金: |
無 し |
仲介手数料: |
1ヶ月 (通常、全額貸主負担。貸主が払わない場合、借り手負担。 又、店舗の場合、貸し主、借り手双方に手数料がかかるケースが多い。)
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家賃支払い: |
通常1ヶ月、又は、3ヶ月前払い。 |
その他諸費用: |
印紙税・契約作成弁護士費用。 |
共益費・駐車場代・
一般消費税 : |
共益費は、通常家賃に含まれています。共益費には、事務所空調費(8:30?5:30)を含みます。また、共用部分清掃費のみ含みます。(占有部分清掃は、別途となります。)駐車場代は、通常、別途かかります。一般消費税は、5%。
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車の乗り入れ規制・
駐車場台数: |
車の保有台数が多い場合、要注意。特にシティーの新しいビルほど、床面積対比駐車場キャパが小さく、2000平方フィート以上のオフィスを借りないと、駐車場がもらえないところが大半。また、来客が多い場合、来客の便にも要注意。
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地下鉄(MRT)の便 : |
日本人駐在員が車利用の場合であっても、地下鉄の便の良し悪しは、現地従業員の採用のし易さに影響を与えます。
ちなみに、シンガポールの乗用車価格は、世界最高です。 |
内装工事 : |
防火(間仕切り設置やスプリンクラーの移動等)関係の規制が特に厳しいので、注意。ガラス・ドアは、防火の観点で設置困難なビルもあります。一般事務所の場合、天井・照明・空調のみは、貸主が提供します。 倉庫・工場ビルの場合は、天井・照明・空調は付いて来ませんので、借主が自らの費用負担で設置する必要があります。
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禁煙規制 : |
シンガポールでは、空調設備の在る事務所等での喫煙は法令で禁止されています。なお、特別に喫煙室を設置することは可能ですが、空調・給排気設備の別途設置が必要となりますので、多大な費用が掛かります。
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ネットワークレディー : |
事務所の設営の際に、忘れてならないのは、ネットワークの設置です。事務所内部のLANやイントラネットの設置のみならず、特に海外事務所では、インターネットあるいは国際専用線経由による国外とのネットワーク接続無しでの業務は、まず考えられなくなってきています。海外拠点も含めて企業活動をグローバルにカバーする基幹業務システム ”ERP”(Enterprise
Resource Planning) を導入する事例も増えております。かつては、事務所の設営といえば、内装・備品の調達・施工でしたが、現在は、それ以前にLANを含むネットワークをどうするかが、大変重要になっております。パシフィック不動産では、ネットワークのセットアップを含む、情報システム全般についても、コンサルティングをしております。
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24時間空調設備 : |
トレーディングやコンピュータ・ルームで24時間空調が必要な場合は、ビルによって可能なところと、不可能なところがありますので、ご注意下さい。
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保 険 : |
火災保険については、建屋はオーナー、家財は、借り手がかけるのが普通です。但し、日本とちがい火災は少なく、むしろ盗難のリスクのほうが高く、保険料も盗難リスクの方が圧倒的に高くなっています。更には、事務所内部での万一の人身事故などに備えて、第3者賠償責任リスクもカバーするような言わば ”オフィス総合保険” を購入するのが、普通です。また、盗難リスクやその被害自体をミニマイズする為には、機械警備(SECOMなど)の採用も良案です。
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サービス・オフィス : |
賃貸用住居として ”サービス・アパート” があるように、”契約当日から入居可能。ビジネスも開始できます。” をキャッチ・フレーズに、”サービス・オフィス” と呼ばれる主として短期用の ”サービス付き貸し事務所” もございます。 これは、言わば、ホテルなどのビジネス・センターの中に自分専用の個室を確保した、といった感じで、専用個室は通常、机が1?2個入れられる程度のスペースで、安価なところでは、月S$2000程度から、借りられます。応接室、会議室などは共用で、使用時間に応じて、若干のフィーが掛かります。サービス・オフィスの最大のメリットは、一般事務所と違って2?3年の長期契約を迫られず、レートこそ割高とはなるものの、例えば1か月だけでも借りられる事。また、一般事務所と違い内装などの初期投資が不要で、また、入居までの準備期間もほぼゼロなこと。さらには、セクレタリー業務は、フィー・ベースで、サービス・オフィスのスタッフに委託できるので、従業員の採用も不要なこと。ただし、2部屋以上のスペースが必要となったり、長期になる場合は、コスト的には割高になります。サービス・オフィスの平均利用期間は、約6か月と言われており、特に新規進出の欧米企業に人気があります。最近は、主として欧米企業向けに、日本国内でも、サービス・オフィスが急拡大しています。サービス・オフィスのお問い合わせも、パシフィック不動産にご相談下さい。
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その他 : |
内装工事に際し、構内電話配線、コンピューターLAN配線を先に手配しないと、壁布・カーペーットの上に配線が「むき出し」になってしまいますので、構内電話機とLANの業者選定が、まず先決です。また、入居後一番多い、借主様からの後悔は、「事務所が小さすぎた」という声で、シンガポールの建具等は、日本の3尺x6尺に対し、4フィートx8フィートが基準で、家具等も概して5割以上大きくなっています。経費節減も重要ですが、同時に「スタッフを増やしたいが、机が入らない。」などということにならないよう、当地事情に十分留意する必要があります。
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